クラッシック入門名曲100選 ベートーベン 交響曲第6番「田園」より第1楽章

クラッシック入門名曲100選

音楽を聴いて、ワクワクするフィーリングを感じたことはありますか?ワクワク感を感じることは、音楽を好きになる要素として、ジャンルを問わず必要不可欠であるように思います。

管理人は様々なジャンルの音楽が好きですが、例えばロックンロールにしても、ジャズにしても、まずワクワクする曲、演奏との出会いがあり、そこからそのジャンルの音楽を聴くようになった。。。つまり「入門」をした、という経験があります。

経験的に言えば、管理人の場合、クラッシックも同様でした。クラッシックに限らず、音楽から受けるフィーリングはワクワク感だけではありません。でも、こと「入門」に関して言えば、管理人はワクワク感を大切にしていきたいと思っています。

ベートーベンという人の音楽は、真面目、深刻、深遠なものが多い。「ジャジャジャジャーン」(運命)と聴いて、ワクワクする人はめったに居ないと想像します。

しかし、ベートーベンという人は、いろんな引き出しを持っていた人で、ワクワクするフィーリングを感じさせる曲もいくつも書いているんですね。

それで、今回は交響曲第6番「田園」の第1楽章をご紹介したいと思います。しかし実は、入門に関して言うと「交響曲」をご紹介するのは気が引けます。と言うか、なるべく避けたいところではあるんです。

それは何故か?

単純に言って、曲が長いからです。この交響曲第6番「田園」という曲は、最初から最後まで演奏すると、その演奏にもよりますが、だいたい40分はかかります。ポップミュージックの場合、5分の曲でも長い方ではないでしょうか?短い曲に慣れている方々にとって、曲が長いというのはそれだけでめちゃくちゃハードルが高くなると思うんですね。

でも、この田園という交響曲。めちゃくちゃファンタスティックでドリーミーでエバーグリーンな曲なんですよ!いやマジで。

なので、反則技とは承知しながら、この曲の一部だけ切り取りご紹介します。この「田園」という交響曲は5つの楽章から出来ています。5つの楽章があるということはどういうことかと言うと、簡単に言えば、5つの音楽があるということです。この5つの音楽は、それぞれ別の音楽です。

じゃーなんで、5つの別の音楽なのに、それがひとつの音楽になるのか?これは大変難しい問題ですが、やや乱暴にざっくり簡単に言えば、「起承転結」のようなものです。いくつかの音楽が合わさって、ひとつのストーリーを展開していると言えます。

ベートーベンは、この田園という曲では、5つの音楽を並べて、ひとつのストーリー(物語)を語ろうとした訳ですね。

ですから、ベートーベンからすれば、ちゃんと5つの音楽を順番に聴いて欲しい訳です。そうしなければ、ベートーベンが意図した音楽世界が展開せず、完結しないからです。

よって、その中からひとつの楽章だけ切り取るというのは、作品に対する冒瀆行為だ!!と言われてしまう可能性があります。や、きっとベートーベンもめっちゃ怒るかもしれない。いや、絶対怒るに決まっています。

でもね。。。この企画は入門なんです。一部切り取った部分に感銘を受けて、そしたら40分全部聴いてみようじゃないか!と思う方も出て来るかもしれない。や、管理人としては、そうなって欲しいと願っている訳です。

そんな訳で、この田園という交響曲の第1楽章をご紹介しましょう。

この田園という交響曲。ベートーベン自身が、5つの楽章それぞれに標題をつけています。ご紹介する第1楽章は「田舎に到着した時の愉快な感情の目覚め」とあります。

「愉快な感情の目覚め」とありますね。音楽を聴いてみましょう。

都会の喧騒を逃れ、旅に出て、とある自然豊かな田舎の駅に降り立ったとします。周りは一面の緑と青い空。新鮮な風が気持ちよく吹いています。駅の改札口を出て、少しずつ歩き始めます。なんだか気持ちが明るくなって来たぞ。歩く歩調が軽快になって来ます。リズムに乗って来た感じ。なんたか愉快だな!身体の細胞全体が喜んで、うれしい気持ちでいっぱいになります。この音楽を聴くと、そんなワクワクしたフィーリングが感じられるのではないか?と思います。

クラッシック入門名曲100選においては、メロディーの要素を大切したいと考えているのですが、実はこの音楽はメロディーというのと少し異なります。メロディーというよりも、フレーズですね。いくつかのフレーズを用意して、それぞれのフレーズを様々な形で積み重ねたり、変化させたり、繋げたりして音楽を作っていると言えます。メロディーというものは長い展開があります。長い展開のメロディーで音楽を作るのではなくて、比較的短めのフレーズを組み立てていくことによって、音楽を展開させている訳ですね。

実は、ベートーベンという人は、素晴らしいメロディーを書くことに関しては、超一流と言える人ではなかったと管理人は考えています。確かに、ベートーベンは時に本当に素晴らしいメロディーを書くことはありました。例えば、現にこの田園交響曲の2楽章と5楽章のメロディは誠に素晴らしいものです。(気になった方はぜひ聴いてみてください!)

でも、それは常に、ということではありませんでした。アベレージとしては低い方であると思います。

おそらく、ベートーベン自身も、そのことに対して自覚的であったと想像します。それで、ベートーベンは弱点を克服すべく、別の方法を編み出すに至ったのではないか?この曲において、ベートーベンは、レンジの長いメロディーではなく、メロディーというには少し足りないフレーズの素材を組み合わせることによって音楽を創造していきます。

フレーズ自体は単純なものであったとしても、あるいは陳腐なのであったとしても、それらのフレーズという素材をいかに料理していくか?ということなのだと思います。驚くべきことに、料理の仕方、創意工夫によって、音楽が真にマジカルなものになってしまっている訳です!ベートーベンは、卓越的な天才的な料理人であったと言えると思います。

思い起こせば、この曲を初めて聴いたのは、叔父さんがくれたレコードによってでした。一体どんな音楽が鳴るんだろう?と期待に胸をふくませながら、レコードに針を落としたものです。すると、この夢見るような素晴らしい第1楽章が流れて来た!その瞬間を未だに忘れることは出来ません。ここにあった現実世界から、あっという間にベートーベンの音楽の世界に完全に移行してしまいました。その素晴らしさに、天にも舞い上がる気持ちがしたものです。

この第1楽章の素晴らしいところは、なんだかこれから素晴らしいことが起こるかもしれない、というワクワクする予感を感じさせるところです。そして、実際にこの交響曲を聴き進めていくと、それは実際に起こります。だから、この第1楽章が気に入った方は、残りの全曲をぜひ最後まで聴いていただけたら、と切に願う訳です。

更に付け加えますと、この交響曲は、最初から最後まで完全に魔法がかかっています。でも、とりあえずは、第1楽章のみトライしてみてください。ただねー、演奏にもよりますが、第1楽章だけでも約12分ほどかかります。ちょっと長いけど、がんばって!

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